本と輪 この3冊大橋歩さん(イラストレーター)が選ぶ私の好きな絵本3冊

本と輪 この3冊

大橋歩さん(イラストレーター)が選ぶ

私の好きな絵本3冊

2021年1月8日

大橋 歩(イラストレーター)

1940年、三重県生まれ。1964年から7年半「平凡パンチ」の表紙の絵を担当。以後、広告・雑誌などの仕事をする。2002年に個人誌「アルネ」を創刊し、09年30号まで刊行。10年に大人の洋服『a.』の製造・販売を始める。同年、季刊誌『大人のおしゃれ』を創刊し、18年17号まで刊行。18年8月から20年3月にフリーペーパー「LITTLE」を発行。エッセイなど著書多数。

1
『おばあちゃん』 文:谷川俊太郎 絵:三輪滋

お話は身近な家族のことです。お話を説明すると読む時の楽しみがなくなりますので、ひかえますが、ごく日常の身につまされるお話を、男の子の目線で語られます。が、谷川俊太郎さんの文は大人の気持ちをぴりぴりさせます。いいのです。三輪さんの絵も大人が楽しめてとてもこわいのです。

2
『それ ほんとう?』 文:松岡享子  絵:長新太

私は長新太さんの大ファンでした。昔々庄野英二さんの「星の牧場」(現在出版されている判型じゃなかったと思う)の挿絵を見て大好きになったのでした。その後もたくさん絵本の絵を描かれました。大分買い込みましたが、あちこちに分散してしまい、今手元にあるのがこれ一冊です。松岡さんのお話は「あ」から始まって「わ」までの言葉でお話が展開。長さんのシンプルな絵は究極と思えます。

3
『A Writer(作家)』 作:M.B.ゴフスタイン  訳:谷川俊太郎

「作家」はこんなふうに仕事をするんだ、仕事に対する誠実さに憧れるねと、この本を開く度に思う。「作家」は「たくさんの作家のひとりにすぎない」と自分を語っているから、他の作家の仕事の仕方はきっと違うんだろう。私はこの「作家」の谷川俊太郎さんの言葉にしない訳の部分がまた好きです。谷川さんの訳だから感動したというのが一番かも知れません。ゴフスタインの絵も大好きです。

(出典)ブックリスト「本と輪 この3冊」vol.2 2018.3

SHAREこの記事をシェアする