本と輪 この3冊小山薫堂さん(放送作家、脚本家)が選ぶ安西水丸 この3冊

本と輪 この3冊

小山薫堂さん(放送作家、脚本家)が選ぶ

安西水丸 この3冊

©金田吉弘

2021年5月3日

小山薫堂(放送作家、脚本家)

1964年熊本県天草市生まれ。大学在学中に放送作家としての活動を開始し、これまでに「カノッサの屈辱」「料理の鉄人」「東京ワンダーホテル」「ニューデザインパラダイス」など斬新な番組を数多く企画・構成。初の映画脚本となった「おくりびと」では、第81回米アカデミー賞外国語映画賞をはじめ国内外で多数受賞した。くまモンの生みの親でもある。

1
『夢の名画座で逢いましょう』 小山薫堂・安西水丸

WOWOWで放送している映画紹介番組「W座からの招待状」を書籍化したもの。10年前、この番組を二人で一緒に担当することになったことから、僕と水丸さんの縁は深まった。「どんなにつまらない映画の中にも必ず数秒間は素晴らしいシーンがある。それに出会えれば充分なんだ」という水丸さんの言葉を聞き、映画を鑑賞するということの価値を知った。今も名画に出会うたび、水丸さんはどんなコメントをするだろう?と想像してしまいます。

2
『普通の人』 安西水丸

僕がテキーラバーをオープンした時、壁に漫画を描いてもらった。まさにこの「普通の人」に掲載されているような不条理4コマ漫画で、正直、それを見た客たちは「面白い」とも「つまらない」とも「すごい!」とも言ってくれなかった。数年でその店は潰れ店内を改装することになったのだが、毎日見ていたその漫画に愛着が湧いてしまい、結局壁ごと漫画を切り取った。今は新しい事務所にその壁を展示している。

3
『東京美女散歩』 安西水丸

水丸さんは散歩が好きな人だった。水丸さんの一流の雑談を聞きながら、想像の中で街を散歩しているような気分になる・・・それがこの本の魅力だ。そうそう、水丸さんは散歩以上に美女も大好きだった。どんな話で美女を口説いていたかは知らないが、この本に書かれているような一流の雑談をしていたのかな、と僕は勝手に推測している。そりゃぁ、モテますよ、こういう軽妙洒脱な話をサラリとできる大人は。自分も見習おう。

(出典)ブックリスト「本と輪 この3冊」vol.9 2021.4

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