本と輪 この3冊角野栄子さん(児童文学作家)に聞いたちいさな女の子に贈りたい本3冊

本と輪 この3冊

角野栄子さん(児童文学作家)に聞いた

ちいさな女の子に贈りたい本3冊

©KADONOEIKO OFFICE

2021年12月24日

角野栄子(児童文学作家)

1935年、東京生まれ。24歳でブラジルに移民、2年間滞在した体験をもとにした『ルイジニョ少年、ブラジルをたずねて』で作家デビュー。1985年『魔女の宅急便』で野間児童文芸賞、2016年『トンネルの森1945』で産経児童出版文化賞ニッポン放送賞など、これまで多数の文学賞を受賞。2018年、児童文学のノーベル賞といわれる国際アンデルセン賞作家賞を受賞した。

1
『まりーちゃんとひつじ』 文・絵:フランソワーズ 訳:与田凖一

かわいい、まるごとかわいい本です。まりーちゃんと、ひつじのぱたぽんの二人だけの、おしゃべりです。小さかった娘と私は、かわりばんこにパタポンになったり、まりーちゃんになったり。あかいスカーフをかぶったまりーちゃん、首に鈴を下げたぱたぽん。綠の牧場に優しい風が吹いてます。与田凖一さんの訳文は素晴らしく、なぜかちょっとすまして読みたくなるのです。

2
『ボタンのくに』 作:なかむらしげお・にしまきかやこ

うさぎのぬいぐるみの目はあかいボタン。ある日、その片っぽがおちて、転がり出しました。コロコロコロコロどんどん早く転がります。そしてボタンのお国の遊園地へ。さてどんな冒険がまっているでしょう。ボタンはウサギのところに帰れるでしょうか。読んでると、ボタンと一緒にこころも走ります。遊びます。ビクビクします。絵は力があるのに、優しくて、歌はないのに、歌いたくなるほど、弾んでいます。

3
『おとうさんは、いま』 文:湯本香樹実 絵:ささめやゆき

まゆちゃんはお父さんの帰リを待っています。絵本を読んでもらう約束をしたのに、なかなか帰ってきません。なぜ、なぜかまゆちゃんの気持ちはよく分かります。でも、お父さんになったつもりで、この本を読むともっと面白い。おとうさんだって、早く帰りたいのに、いろいろあってたいへんなのですよ。でも大丈夫、お父さんに任せなさい。

(出典)ブックリスト「本と輪 この3冊」vol.3 2018.10

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