森岡督行さん(森岡書店店主)に聞いた
僕のすすめる“こども”の
写真集3冊
2022年11月25日
森岡督行(森岡書店店主)
1974年生まれ。著書に『荒野の古本屋』(晶文社)などがある。出展、企画協力した展覧会に『そばにいる工芸』(資生堂ギャラリー)、『エルメスの手しごと展 “メゾンへようこそ”』(銀座メゾンエルメス)などがある。『工芸青花』(新潮社)編集委員。森岡書店のコンセプトとデザインに対して2016年、レッド・ドット・デザイン賞(ドイツ)、iFデザイン賞(ドイツ)、D&AD・Wood Pencil賞(イギリス)、グッドデザイン・ベスト100(日本)を受賞した。
筑豊や浅草、深川、銀座、大阪、名古屋、伊豆などの子供たち。今日からみれば、まだまだ貧しい日本だと思うが、路上で遊ぶ子供からは強力なエネルギーが放たれている。ブックデザインは68年の東京オリンピックのエンブレムマークをつくった亀倉雄策が担当した。
荒木経惟が1962年頃に撮った下町の子供の写真。荒木経惟の自画像とも称される通り、ここに写った子供たちは、どこか常識の範囲内で逸脱しているよう。公害の問題が顕著だったと思うが、時代にはパワーがあり、それが子供たちにも乗りうつっているようだ。何より遊ぶことを楽しんでいる。
『未来ちゃん』もまた子供の写真集。未来ちゃんの服装や鼻の垂れ具合から、むかしの子供という印象を受ける。ありのままで飾り気がなく、いつも愛くるしい。写真家の川島小鳥さんならではの視線だろう。このような表情の子供がたくさんいる社会になってほしいと願わざるをえない。
写真家は、子供を撮ることによって、写真家が考えるその社会のあり方を示すことができるのではないだろうか。