石黒亜矢子さん(絵本作家)に聞いた
子どもたちに
読んで欲しい3冊
2022年12月16日
石黒亜矢子(絵本作家)
1973年、千葉県生まれ。妖怪や空想上の生き物、猫などの動物を題材に、絵本や装丁画、挿絵を手がける。ビリケンギャラリーなどで個展開催のほか、さまざまな企画展に参加。著書に『おおきなねことちいさなねこ』(長崎出版)、『ばけねこぞろぞろ』(あかね書房)、『てんまると家族絵日記』シリーズ(Uresica)など多数。2016年、『石黒亜矢子作品集』(玄光社)を刊行。
網代さんの絵の世界は、おしゃれで素敵なのにどっかヘンテコで摩訶不思議で大好きなのですが、今回の絵本も江戸の頃の遊び絵に通ずるようなおかしな世界。頭が刀の異形の者のサーベル婦人。でも町のみんなの人気者。肉だって髪だって枝だってなんでもかんでも切ってくれちゃう働き者。そもそもサーベルは武器なのに。でもサーベル婦人働き過ぎて...?最後までおかしな楽しい絵本です。
表紙からのこのインパクト。やまねこがであったのは、ねずみのとうちゃんとそのこねずみの息子。こねずみは、自分のとうちゃんがすごく強いんだぞと盲信している。おおきく強そうなやまねこ相手にねずみのとうちゃんさあどうする。絶妙なねずみ親子のやり取り。ああ、子供ってここまで親を信じてるんだよなそうだよなでも中学生になったらそれもなくなるんだろうなとか考えさせられるお話。ラストにはほろりです。
まず絵が心から素晴らしい。鳥の羽根や草花、田舎の風景、モノクロの絵本なのだがかき込みがすごすぎて圧倒されました。もちろんお話もとてもいい。作者の菊池さん自身も鳩を飼われているせいか、鳩と子供とのやりとりがいきいきとえがかれております。私が子供の頃に好んでよく読んだ類いの動物と子供の淡々としたお話です。昨今こういう渋い絵本は少なくなってきているなと思います。やはり時代でしょうか。自分もいつかこういう絵本が描けたらと思います。