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文学を体験する空間「世田谷文学館」


本と輪 この3冊 - だいたい金曜日の本

各分野でご活躍の皆さまに、世田谷文学館が用意したお題に対して、3冊の本を挙げていただきました。ロゴマークのデザインは、クラフト・エヴィング商會さんです。当館で不定期発行しているブックリスト「本と輪 この3冊」からのご紹介です。子ども向けの本から、洋書や哲学書まで、旅の本、食の本、写真集など幅広い分野から選んでいただきました。意外なテーマも出てきます。当館ライブラリー〈ほんとわ〉の雰囲気を、ホームページでも味わっていただければと思います。だいたい毎週金曜日に更新していきますので、どうぞお楽しみに。
※選書の入手について:書籍により、なかには現在入手が難しいものもあります。文庫版や古書、図書館などでも探してみてください。

中山晴奈さん(フードデザイナー)に聞いた
料理にまつわる座右の書3冊

2020年10月30日

中山晴奈フードデザイナー

1980年、千葉県生まれ。コミュニケーションツールとしての食に着眼しアート・教育分野で調査・研究及び制作を行う。地域や生産者のメッセージを伝える商品開発のほか、東北食べる通信の連載など。慶應義塾大学SFC研究所研究員。
  • 『富士日記 〈上・中・下〉』武田百合子

    百合子さんのつくるごはんはとにかく美味そうで、うま味調味料をお湯で溶いたスープでさえ美味いそうに思えてくるのがすごい。夫に時折叱られながらも、中央道を飛ばしたり、野次を飛ばしたり、湖で男のように泳ぎ「あの女すげぇ」とささやかれたりする様子は、私たちがたまにやってしまう数々の失言、いきすぎた行いを清々しい風のように後押ししてくれる。食欲がない時、落ち込んでいる時に読むと効果覿面の1冊。
  • 「サラダの謎」『中谷宇吉郎随筆集』より

    調理の表現に「石鹸のかけら」なんて言葉を使ってもいいのは、鋭い観察眼を持つこの科学者だけだ。地上に降りるとすぐに消えてしまい、ひとつとして同じものがないと言われている雪の結晶を観察してきたからだろうか。科学者の暮らしへのまなざしはあたたかく、丁寧で、そして客観的だ。「サラダをつくるときに、にんにくをパンの固い切れはしでこすって」入れる方法は、どんな名レシピよりも作ってみたくなる。
  • 『仰臥漫録』正岡子規

    これが死にゆく人の食べるものなのだろうか。傷みの激しい病と闘いながら病床で食べたものとしてはあまりに多すぎやしないか。アンパンを5つ、8つ、10ともりもりと食べていく毎日。かつおの刺身に飯3杯。山のように美味いものを食べ、排便し、包帯を替え、痛みに悶絶し、庭を眺めながら生きた1日がありありと目に浮かぶ。食べることは生きることなんだと、読み進めるほどに腹が減り、生を意識する作品。
  • (出典)

    ブックリスト「本と輪 この3冊」vol.1 2017.4

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君島佐和子さん(「料理通信」編集主幹)に聞いた 
料理にまつわる座右の書3冊

2020年10月23日

君島佐和子「料理通信」編集主幹

1962年、栃木県生まれ。フリーライターを経て、1995年『料理王国』編集部へ。2002年より編集長を務める。2006年6月、国内外の食の最前線の情報を独自の視点で提示するクリエイティブフードマガジン「料理通信」を創刊。
  • 『人間は何を食べてきたか』NHK取材班

    この仕事を重ねてきて、最近とみに興味が食の源流へと向かうのを感じます。それがどうも自分に限った話ではなく、食に携わる人々がこぞってなのです。確立されたメソッドを教わるより、下手でもいいから自分でゼロからやってみる人が増えた。パンのレシピを学ぶのではなく、パンがどうやって作り継がれてきたかを身をもって知ることに意義を見出す若者が増えた。近道せずにあえて遠回りを選ぼうとする、そんな若者たちに読んでほしいのが本書です。
  • 『すきやばし次郎旬を握る』里見真三

    著者の里見真三さんは、文藝春秋社の名物編集者だった人物です。「B級グルメ」という言葉の生みの親でもあります。庶民の味から高嶺の花まで、対象との向き合い方に変わりはなく、その姿勢は「知る」ことと「面白がる」ことの徹底にありました。稀代のすし職人にひっついて、カウンターの向こう側の仕事という仕事を余すところなく写し出した本書は、料理雑誌の編集者としていかにあるべきかを教えてくれました。
  • 『十皿の料理』斉須政雄

    気候風土、民族、歴史が絡み合った上に形作られるのが「食」の様相です。生命と直接的に関わる分、人間の味覚はプリミティブでコンサバティブ。だから、他国の料理を学び、習得するということは、考える以上にハードルが高いと感じます。この本を読む度に胸が詰まって涙が出そうになるのは、あまりにも愚直にそのハードルを越えようとする姿が美しいから。日本のフランス料理界の宝とも言えるこのシェフのありようは、本書で描かれた頃(40年前)も今も変わりません。そこにまた感動している自分がいます。
  • (出典)

    ブックリスト「本と輪 この3冊」vol.1 2017.4

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土井章史さん(編集者)に聞いた
長新太と出会う最初の3冊

2020年10月16日

土井章史編集者

1957年、広島県生まれ。編集プロダクション・トムズボックス代表。フリーの絵本編集者としてこれまでに300冊以上の絵本を企画編集。また絵本ワークショップ「あとさき塾」を小野明と運営し、新人の絵本作家を発掘、養成している。
  • 『ノコギリザメのなみだ』 長新太

    この不思議なお話は、長さんならではかな、なんと年老いたノコギリザメがおばけに、いろいろからかわれるというか、遊ばれてしまうのですが、オバケはでも全然悪気がない。ここがミソですね。それでノコギリザメが涙を流します。海の中なのですがその涙は固まって救いになるのです。泣けますねー。
  • 『トリとボク』長新太

    川に集うカモたちが、川の景色とあいまって烏合衆参していろいろな形になる。それを見ているボク、ただただ見ていることによって、ボクと絵本を見ている私たちがいつのまにか一体化され、長新太が描く叙情世界に引き込まれるのですね。美しい絵本です。
  • 『これが好きなのよ』長新太

    長新太は絵本作家であると同時に漫画家でもあるのです。漫画家としての長新太も決して忘れてはいけません。初期から晩年までの作品を網羅しています。起承転結の結が私たちは大切だと育てられてきましたが、このマンガは、オチがみつからない。でもおもしろい?なぜでしょうねえ。読んで見てください!
  • (出典)

    ブックリスト「本と輪 この3冊」vol.1 2017.4

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荒井良二さん(絵本作家)に聞いた 
大好きな外国の絵本3冊

2020年10月9日

荒井良二絵本作家

1956年山形県生まれ。『たいようオルガン』でJBBY賞、『あさになったのでまどをあけますよ』で産経児童出版文化賞・大賞、『きょうはそらにまるいつき』で日本絵本賞大賞を受賞。2005年児童文学賞の最高峰アストリッド・リンドグレーン記念文学賞を日本人で初受賞。2018年まで「みちのおくの芸術祭山形ビエンナーレ」の芸術監督を務めるなど、活動の幅を広げている。2009年、世田谷文学館にて「進める荒井良二のいろいろ展」を開催。
  • 『ちいさなとりよ』原題 THE DEAD BIRD マーガレット・ワイズ・ブラウン

    ことりの死と向き合う、こどもたちを描いた傑作。静ひつさを表す絵の構成とデザインが素晴らしい。
  • 『たいせつなこと』原題 THE IMPORTANT BOOK マーガレット・ワイズ・ブラウン

    「Words by Margaret Wise Brown」に注目です。まるで歌のように美しく語りかけてくる絵本。(表4の絵が、原本と日本版で違っているのが残念です)
  • 『セーラーとペッカシリーズ』原題 SAILOR OCH PEKKA ヨックム・ノードストリューム

    素敵な二人組が織り成す、様々な日常の出来事を見事な絵と間合いで楽しませてくれる大傑作!
  • (出典)

    ブックリスト「本と輪 この3冊」vol.1 2017.4

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角田光代さん(作家)に聞いた
子どもの頃の思い出の本3冊

2020年10月2日

角田光代作家

1967年、神奈川県生まれ。1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞し、作家デビュー。1996年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、2005年『対岸の彼女』で直木賞を受賞するなど、数多くの文学賞を受賞。
  • 『ちいさいモモちゃん』松谷みよ子

    この本に出合ったときの私は6歳だった。モモちゃんは生まれたばかりで、まだカレーライスが食べられなかったけれど、どんどん大きくなって保育園にいき、小学校にいく。私もモモちゃんといっしょに成長した。モモちゃんの見る、この世ならざるもの、大人の目には見えないものは、私の目にも見えていた。だからこのシリーズは、私にとってスーパーリアリズム小説だ。モモちゃんといっしょに大人になれたことを私はとてもうれしく思っている。
  • 『いやいやえん』中川李枝子

    モモちゃんが大好きな友だちだとしたら、『いやいやえん』のしげるは大嫌いな男の子だった。なんでこの子はこんなにわがままなんだろうと思っていた。それでも私はこの物語が大好きで、幾度もくり返し読み、それでは飽き足らず、すべてのページに自分の絵を描いた。私もいやいやえんに通いたかったのだ。しげるを嫌いだと思ったのは、彼がうらやましかったからだろう。
  • 『長くつ下のピッピ』アストリッド・リンドグレーン

    ピッピは、私の友だちのなかでもっとも破天荒で勇敢な女の子だった。ピッピといっしょに羽目を外すことに私は夢中になっていた。大人になってピッピを読み返し、私は、あのころの自分が今の自分に成長したことに深く納得した。高級志向もブランド趣味もなく、公的な場が苦手で、充分大人なのに大人っぽいことが小っ恥ずかしく、本当のことがきっとどこかにあるとこの年齢になっても信じている、そんな大人になった種は、ピッピの物語の中にすでにあると知ったのである。
  • (出典)

    ブックリスト「本と輪 この3冊」vol.1 2017.4

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